退職金とiDeCoは同じ年に受け取っていい?税金で損しないための考え方

退職金とiDeCoは、同じ年に受け取ってはいけないわけではありません。

ただし、同じ年に受け取ると、退職所得控除をそれぞれ別々に満額使えるとは限りません。

そのため、受け取り方によっては、思っていたより税金がかかることがあります。

大切なのは、次の3つです。

・退職金はいくらか
・iDeCoを一時金で受け取るのか、年金で受け取るのか
・退職金とiDeCoをいつ受け取るのか

特に50代以降になると、退職金、企業年金、iDeCo、NISA、公的年金など、老後資金の入口と出口が重なりやすくなります。

神田・新橋周辺で働く会社員や経営者の方も、退職金や役員退職金、再雇用後の収入、iDeCoの受け取り方をまとめて考える場面が増えてきます。

この記事では、退職金とiDeCoを同じ年に受け取る場合の考え方を、できるだけわかりやすく整理します。

退職金とiDeCoは同じ年に受け取っていいのか

結論からいうと、退職金とiDeCoを同じ年に受け取ること自体は可能です。

ただし、税金の面では注意が必要です。

退職金も、iDeCoを一時金で受け取る場合も、基本的には「退職所得」として扱われます。

退職所得には、退職所得控除という大きな控除があります。

この控除があるため、退職金は給与よりも税負担が軽くなりやすい仕組みです。

しかし、退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、それぞれに退職所得控除を別々に満額使えるわけではありません。

同じ年に受け取る場合は、合算して考える必要があります。

つまり、ポイントは次の通りです。

「同じ年に受け取れるか」ではなく、
「同じ年に受け取ったとき、退職所得控除をどう使うことになるか」

ここを確認することが大切です。

退職金とiDeCo一時金はどちらも退職所得として扱われる

退職金とiDeCoを考えるときは、まず税金の種類を分けて見る必要があります。

iDeCoは受け取り方によって、税金の扱いが変わります。

退職所得は給与より税負担が軽くなりやすい

退職金は、原則として退職所得として計算します。

退職所得は、次のように計算します。

退職所得 = 退職金の収入金額 - 退職所得控除額

この金額を、原則として2分の1にします。

つまり、退職金全体にそのまま税金がかかるわけではありません。

退職所得控除を引いたうえで、さらに原則として2分の1にした金額が課税対象になります。

そのため、退職金は給与に比べると、税金の負担が軽くなりやすい仕組みです。

ただし、役員としての勤続年数が短い場合など、一部では2分の1計算が使えないケースもあります。

経営者や役員の方は、一般的な会社員の退職金とは別に確認が必要です。

iDeCoは一時金と年金で税金の扱いが変わる

iDeCoは、受け取り方によって税金の扱いが変わります。

主な受け取り方は、次の3つです。

・一時金で受け取る
・年金形式で分けて受け取る
・一時金と年金を組み合わせて受け取る

一時金で受け取る場合は、退職所得として扱われます。

そのため、退職所得控除の対象になります。

一方で、年金形式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象になります。

どちらが有利かは、人によって違います。

退職金の額、公的年金の額、iDeCoの残高、受け取り年齢、他の所得によって変わるからです。

同じ年に受け取ると退職所得控除を二重に使えるわけではない

退職金とiDeCoを同じ年に受け取るときに、一番誤解しやすいのが退職所得控除です。

「退職金にも控除がある」
「iDeCoにも控除がある」

そう聞くと、両方に別々の控除が使えるように感じるかもしれません。

しかし、同じ年に受け取る場合は、単純に二重で使えるわけではありません。

退職所得控除は勤続年数で決まる

退職所得控除は、勤続年数によって計算します。

基本は次の通りです。

勤続年数20年以下の場合
40万円 × 勤続年数

勤続年数20年超の場合
800万円 + 70万円 × 20年を超える勤続年数

たとえば、勤続30年の場合は次のようになります。

800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円

この場合、退職所得控除は1,500万円です。

退職金が1,500万円以内であれば、退職所得は原則として0円になります。

同じ年に受け取る場合は合算して考える

退職金とiDeCo一時金を同じ年に受け取る場合、基本的には退職所得として合算して考えます。

たとえば、次のようなケースです。

退職金:2,000万円
iDeCo一時金:500万円
合計:2,500万円

この場合、退職所得として見る金額は合計2,500万円です。

退職金2,000万円とiDeCo500万円に、別々に退職所得控除を満額使えるわけではありません。

ここを誤解すると、手取りの見込みがズレやすくなります。

具体例で見る退職金とiDeCoの税金

ここでは、仕組みを理解しやすくするために、簡単な例で見てみます。

実際の税額は、所得税率、住民税、復興特別所得税、他の所得や控除によって変わります。

そのため、ここでは「課税対象になる退職所得がいくらになるか」を中心に見ます。

退職金だけなら税金が少ないケース

たとえば、勤続35年の会社員が、退職金2,000万円を受け取るケースです。

勤続35年の場合、退職所得控除は次のように計算します。

800万円 + 70万円 × 15年 = 1,850万円

退職金は2,000万円です。

退職所得控除1,850万円を差し引くと、残りは150万円です。

退職所得は、原則としてこの2分の1です。

150万円 ÷ 2 = 75万円

この場合、課税対象になる退職所得は75万円です。

退職金2,000万円全体に税金がかかるわけではありません。

iDeCoを同じ年に受け取ると課税対象が増えるケース

次に、同じ人がiDeCo一時金500万円も同じ年に受け取るとします。

退職金:2,000万円
iDeCo一時金:500万円
合計:2,500万円

勤続年数の考え方は実際には加入期間や重複期間により異なりますが、ここでは仕組みを理解するために、退職所得控除を1,850万円として見ます。

2,500万円 - 1,850万円 = 650万円

この650万円を、原則として2分の1にします。

650万円 ÷ 2 = 325万円

この場合、課税対象になる退職所得は325万円です。

退職金だけの場合の75万円と比べると、課税対象額は大きくなります。

つまり、iDeCoを同じ年に一時金で受け取ると、退職所得控除を超える部分が増える可能性があります。

これが、退職金とiDeCoの同年受け取りで注意したい点です。

同じ年でも税金が大きく増えないケース

一方で、同じ年に受け取っても、大きな問題になりにくいケースもあります。

たとえば、勤続38年で退職金1,700万円、iDeCo一時金300万円を受け取るケースです。

合計は2,000万円です。

勤続38年の退職所得控除は、次のように計算します。

800万円 + 70万円 × 18年 = 2,060万円

退職金とiDeCoの合計2,000万円は、退職所得控除2,060万円以内です。

この場合、退職所得は原則として0円になります。

つまり、同じ年に受け取ることが常に悪いわけではありません。

退職金とiDeCoの合計額が、退職所得控除の範囲内に収まるかどうかが重要です。

2026年以降は10年ルールも確認したい

退職金とiDeCoは、同じ年だけでなく、数年ずらして受け取る場合にも注意が必要です。

特に2026年以降は、iDeCoを先に受け取り、その後に退職金を受け取る場合のルールを確認しておきたいところです。

iDeCoを先に受け取り、後で退職金を受け取る場合

2026年1月以後にiDeCoなどのDC老齢一時金を受け取り、その後に会社の退職金などを受け取る場合、いわゆる「10年ルール」が関係することがあります。

簡単にいうと、iDeCoを先に一時金で受け取ってから、あまり年数を空けずに退職金を受け取ると、退職所得控除の計算で重複期間が調整される可能性があります。

以前は「5年空ける」という考え方がよく知られていました。

しかし、2026年以降は、iDeCoを先に受け取る場合の見方が変わっています。

たとえば、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社の退職金を受け取るようなケースでは、税金の計算を事前に確認しておきたいところです。

退職金を先に受け取り、後でiDeCoを受け取る場合

一方で、退職金を先に受け取り、その後にiDeCoを一時金で受け取る場合は、別の見方になります。

この場合、退職金を受け取った年の後、一定期間内にiDeCo一時金を受け取ると、退職所得控除の調整が関係することがあります。

一般的には、いわゆる「19年ルール」と呼ばれることがあります。

つまり、受け取り順によって注意点が変わります。

・iDeCoを先に受け取る
・退職金を先に受け取る
・同じ年に受け取る
・一時金ではなく年金で受け取る

この違いで、税金の見え方が変わります。

一時金と年金、どちらがよいかは税金だけでは決まらない

iDeCoを受け取るとき、多くの人が迷うのが「一時金か、年金か」です。

税金だけを見ると、一時金が有利に見えることがあります。

しかし、必ず一時金がよいとは限りません。

一時金は退職所得控除を使える

一時金で受け取る場合は、退職所得控除を使えます。

退職所得控除が大きい人は、税負担を抑えやすくなります。

特に、退職金が少ない人や、iDeCoの金額が退職所得控除の範囲内に収まりやすい人は、一時金受け取りが合いやすい場合があります。

ただし、会社の退職金もある人は、同じ年に受け取ると控除を使い切ってしまうことがあります。

年金受け取りは公的年金等控除の対象になる

年金形式で受け取る場合は、公的年金等控除の対象になります。

一度に受け取らず、数年に分けて受け取るため、資金を計画的に使いやすい面があります。

ただし、公的年金や他の年金収入が多い場合は、年金形式で受け取ることで所得が増え、税金や社会保険料に影響することがあります。

一時金と年金は、どちらが正解というより、他の収入との組み合わせで考えるものです。

手数料・運用・生活費も合わせて見る

iDeCoを年金形式で受け取る場合、受け取り期間中の手数料や運用リスクも確認が必要です。

また、60歳から65歳までの生活費をどうまかなうかも大切です。

たとえば、次のような点です。

・再雇用で収入があるか
・住宅ローンが残っているか
・退職金をすぐ使う予定があるか
・公的年金は何歳から受け取るか
・NISAなど他の資産をいつ取り崩すか
・配偶者の年金や働き方はどうなるか

税金だけを見て受け取り方を決めると、生活費や資産全体のバランスが取りにくくなることがあります。

神田・新橋で働く人が整理したいポイント

神田・新橋周辺で働く人の場合、退職金やiDeCoの事情は一人ひとり違います。

会社員、役職者、経営者、個人事業主では、老後資金の入り方が変わります。

会社員は退職金・企業年金・iDeCoを並べて見る

会社員の場合は、まず勤務先の制度を確認することが大切です。

確認したいのは、次のようなものです。

・退職一時金
・企業年金
・企業型DC
・iDeCo
・再雇用後の給与
・公的年金の見込み額

退職金だけを見るのではなく、60歳、65歳、70歳の時点で、どの資金が入ってくるのかを並べると整理しやすくなります。

経営者や役員は役員退職金も含めて考える

経営者や役員の場合は、役員退職金の設計も関係します。

役員退職金は、会社の財務、税務、社会保険、退職時期などとつながります。

また、役員としての勤続年数が短い場合は、退職所得の2分の1計算に制限がかかることもあります。

そのため、一般的な会社員の退職金とは分けて考える必要があります。

神田・新橋周辺では、会社員から役員になる人、法人経営者、士業、個人事業主も多いため、働き方に合わせた整理が必要です。

個人事業主は小規模企業共済なども確認する

個人事業主の場合は、会社員のような退職金がないこともあります。

その代わりに、iDeCoや小規模企業共済などを老後資金として活用している人もいます。

この場合も、受け取り方によって退職所得や公的年金等控除の考え方が関係します。

複数の制度を使っている場合は、受け取り時期が重ならないか、税金や社会保険料にどう影響するかを確認しておきたいところです。

まとめ

退職金とiDeCoは、同じ年に受け取ること自体は可能です。

ただし、同じ年に受け取る場合は、退職所得控除を別々に満額使えるわけではありません。

基本的には、退職金とiDeCo一時金を合算して、退職所得として考える必要があります。

ポイントは次の通りです。

・退職金とiDeCo一時金は、どちらも退職所得として扱われる
・退職所得控除は勤続年数などで決まる
・同じ年に受け取ると、控除を二重に満額使えるわけではない
・2026年以降は、iDeCoを先に受け取る場合の10年ルールも確認したい
・退職金を先に受け取り、後でiDeCoを受け取る場合は19年ルールも関係する
・一時金と年金のどちらがよいかは、他の収入や生活費によって変わる

退職金とiDeCoの受け取り方は、税金だけでなく、生活設計全体とつながっています。

年金、退職金、iDeCo、NISA、住宅ローン、再雇用後の収入を合わせて見ることで、判断しやすくなります。

自分の場合に置き換えて考える視点

退職金とiDeCoを考えるときは、まず次の順番で整理すると分かりやすくなります。

  1. 退職金はいくら受け取る予定か
  2. iDeCoの残高はいくらか
  3. iDeCoを一時金で受け取るか、年金で受け取るか
  4. 退職金とiDeCoを同じ年に受け取るか
  5. 受け取り時期をずらす場合、10年ルールや19年ルールに関係するか
  6. 公的年金や再雇用収入と重なる時期はいつか
  7. 税金だけでなく、生活費や資産の取り崩しも見ているか

同じ退職金2,000万円、iDeCo500万円でも、勤続年数、加入期間、受け取り時期、家族構成によって見え方は変わります。

また、会社員、役員、個人事業主では、確認すべき制度も異なります。

制度や数字は同じでも、家族構成や働き方、資産状況によって見え方は変わります。自分の場合に置き換えて整理すると、判断しやすくなる分野です。

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